文京区の不動産屋、ベステックスの玉井です。
東日本大震災から9年経過しました。
月日こそ経ちましたが、地震への脅威は変わらず存在しています。特に住む場所を考える時、地震による影響を意識する方は少なくないでしょう。
ベステックスにご来店いただくお客様でも、「文京区の地盤は大丈夫?」と気にされる方は多いです。
私は現在、文京区在宅在勤です。生活のほとんどを文京区で過ごしています。
このように文京区を紹介する記事を書いていることもあり、文京区が本当に地震に強いのか、あらためてきちんと知りたいと思いました。
そこで今回は、「都内でも地震に強い地域に住みたい」「文京区に住もうと思うけど地震が気になる」というあなたに向けて、
- 東日本大震災のときの文京区の様子
- 東京都都市整備局による地域危険度測定調査の結果
の2つから、「文京区は地震に強いのか」を検証していこうと思います!
震災当日の街の様子
まずは東日本大震災のとき、文京区では何が起きていたのか、振り返ってみましょう。
2011年3月11日。天気は快晴、気温はやや肌寒いくらい。
この日は金曜日で、ベステックスはいつも通り朝10時から営業。お客様も何人かご来店いただいていました。
午後2時46分、東北地方太平洋沖で地震が発生。
地震発生時、文京区はどのような様子だったのでしょうか?本郷三丁目駅前支店で接客をしていたスタッフの森に話を聞いてみました。
地震直後、少なくとも本郷では揺れによる大きな被害はなかったようです。
ただし、鉄道は地震直後から全線運休。運転再開の見通しも立たなかったため、遠方に住むお客様はスタッフがご自宅付近まで車でお送りすることになりました。
さらに、通信事業者が大規模な通話規制を実施したため、都内では電話及びメールが繋がりにくい状況に。ベステックスでは店舗の固定電話をお客様に開放し、連絡手段を提供しました。
また、ベステックスが管理させていただいている物件には高齢のオーナー様もいらっしゃるため、その方々が安全に避難できるよう、スタッフはフォローに奔走していました。
地震による影響を大きく感じたのが、地震発生から約3時間後でした。帰宅難民による交通渋滞が発生したのです。
ベステックスのある本郷三丁目駅前には本郷通りと春日通りという大きな通りが交差していますが、そのいずれも車でいっぱいに。
ベステックスには徒歩圏内に住むスタッフがほとんどなんですが、車で通勤しているスタッフはかなり大変だったみたいです。夕方会社を出発したのに、朝まで文京区から出られなかったと聞きました。
文京区は山手線の内側の都心部に位置し、オフィスや学校も多数あるため、帰宅難民による混乱は避けられなかったようです。
地震による直接的な被害はなくても、間接的に影響を受けてしまうのは都会の大きな弱点と言えるでしょう。
鉄道が復旧し、帰宅難民が解消された後は、だんだんと普段の暮らしに戻っていきました。本郷には大きな病院があるからか、計画停電の対象にもなりませんでしたね。
以上が震災当日、文京区で起こっていたことの概況です。
区内の被害状況
震源地が太平洋沖とやや遠いこともあり、揺れによる大きな被害はなかった文京区。
震度は5弱で、文京区が地震2日後に発表した内容によると、建物の倒壊、道路やライフラインなどの被害はなかったそうです。
都内全体では死者7名、負傷者94名、建物全壊4棟、半壊9棟、一部損壊351棟、火災35件が報告されています。東京湾岸部の埋立地を中心に、液状化現象による被害もありました。
それを考えると、文京区は東京都内でも比較的被害が小さかった方だと言えるかもしれません。
実際、ベステックスは当時も多数の物件オーナー様やお客様とお付き合いがありましたが、地震後に建物の被害に関する相談は1件もありませんでした。
文京区は地震に強いのか?
東日本大震災では、地震の揺れによる大きな被害はなかった文京区。
では、実際のところ、文京区は地震に強いと言えるのでしょうか?
2018年に東京都都市整備局によって行われた「第8回地域危険度測定調査」というものがあります。
この調査は、都内5,177町丁目を対象に、
- 建物倒壊危険度:建物倒壊の危険性
- 火災危険度:火災の発生による延焼の危険性
- 災害時活動困難度:道路の整備状況による災害時の活動の困難さ
- 総合危険度:建物倒壊危険度、火災危険度に災害時活動困難度を加味して総合化
の4点を評価したものです。
こちらを見ると、文京区が都内でも少し特殊な土地であることがよくわかります。
というのも、同じ文京区内でも、地震に対する強さは街によって大きく異なるからです。
文京区で総合危険度ワースト1は大塚6丁目で、これは5,177町丁目中の121位とかなり上位です。一方、文京区ベスト1は後楽1丁目で5083位で、これは都内でトップクラスの数字です。かなり地震に強いことがわかります。
このように近隣のエリアで大きく結果が異なるのは、恐らく文京区が台地と谷で形成されたアップダウンの多い土地であることが原因だと考えられます。街によって地盤の強さが全く違うのです。
つまり、「文京区は地震に強いのか?」という疑問に対しては「場所による!」という、なんとも微妙な答えになります。
地震に強い文京区のエリアランキング
となると気になるのが、「文京区の中で地震に強いエリアはどこなのか」ということですよね。
そこで、地域危険度測定調査の結果から、文京区の中で特に総合危険度の低い「地震に強い」エリアをランキングにしました!ベスト3をご紹介します。
なお、東京ドームなどの商業施設がある後楽1丁目と、東京大学本郷キャンパスのある本郷7丁目が上位に入っていましたが、いずれも物件数がとても少なく住宅地とは言えないエリアであるため、対象から除外しています。
1位 本郷3丁目
1位は本郷3丁目です。丸の内線・大江戸線「本郷三丁目」駅の南東側のエリアです。
台地の上に位置し、また道路も他のエリアと比べて入り組んでいないことが危険度を下げたと考えられます。
駅前ということもあってオフィスや商業施設が散見されますが、お一人暮らし用のワンルームマンションも多く並んでいます。
飲食店が多く、交通利便性も高いため、学生から社会人まで幅広い層におすすめできるエリアです。
2位 本駒込6丁目
第2位は本駒込6丁目です。文京区の最北部に位置します。歴史ある高級住宅街で、「大和郷(やまとむら)」とも呼ばれています。
高台に位置し、また都心では稀に見る道の広さで、地震に強いエリアと言えるでしょう。
庭付きの立派な一戸建てが目につきますが、賃貸マンションもあります。居心地が良く、長く住む人が多いためか、出てくる物件数はとても少ないです。このエリアで物件を探す場合は長期戦を覚悟した方がよいでしょう。
3位 湯島1丁目
第3位は湯島1丁目です。第1位の本郷3丁目のすぐ隣に位置するエリアで、文京区の南東端に位置します。こちらも台地の上に位置し、地震の危険度は低いエリアです。
南部を【東京医科歯科大学】及び【東京医科歯科大学付属病院】と【湯島聖堂】が占めているため、住宅のエリア自体は狭いのですが、本郷通り沿いを中心に高層マンションが建ち並んでいます。
近隣の医療機関にお勤めの方におすすめしたいエリアです。
まとめ
以上、まとめると、
ということでした!
「文京区なら地震に強い!」って思考停止してたらダメでしたね……
地震は確かに脅威ですが、きちんとその土地のことを知っていれば、いくらか減らせる被害もあるはずです。
正しい知識を蓄え、来るべき災害に備えましょう!
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この記事の頼れる営業
森 秀一
ベステックス本郷三丁目駅前支店の店長。不動産営業歴8年。前職がカメラマンという異色の職歴。物件の賃貸だけでなく売買も担当し、不動産全般について造詣が深い。細かな気遣いが光る営業スタイルで「また森さんにお願いしたい」とリピーターのお客様も多い。
この記事を書いた人
玉井 桃子
ベステックス専属ライター。文京区在住在勤。取材では車や電車を使わず、自転車と徒歩で細い路地からスーパーの鮮魚売り場までくまなく巡り、お店や道、地形に特に詳しい。お絵かきツールIllustratorの使用歴12年で、本文中の図解も手掛ける。
大きな地震だったので、とっさに店の外に出ました。でも、そのときは特に騒ぎにもなってなくて、ただ大きめの地震があったなってくらい。店の中の棚なんかが倒れることもありませんでしたね。