文京区の不動産屋ベステックスの玉井です。
住居は生活を支える基盤であり、「家賃」として家計でも大きな割合を占めるものです。仕事を失ったり、収入が大きく減ったりしたとき、まず「家賃が払えなくなる!」と考える方は多いのではないでしょうか。
住むところを失うような事態を未然に防ぎ、またその状態からいち早く脱出するための制度があります。それが「住居確保給付金」です。
いざというときのために知っておきたい「住居確保給付金」について、2020年4月時点での最新情報とあわせて、わかりやすくご紹介していきます。
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住居確保給付金とは
住居確保給付金とは、仕事を失ったために経済的に困窮し、住居を失う、もしくはこれから失う恐れがある方を対象に、国や自治体から支給される住宅費のこと。
申請した本人に支給されるわけではなく、住宅の貸主または貸主から委託を受けた事業者の口座に直接振り込まれます。
「給付金」なので、返済は不要です。
最長9カ月という限られた期間内での支給で、金銭的な補助だけではなく、再就職するための支援も同時に行われるところがこの制度のポイントです。
対象者
住居確保給付金制度の対象となる方は以下の通りです。
- 離職等後2年未満
- 離職等の前に世帯の生計を主として維持していた
- ハローワークに求職の申込をしている
- 国の雇用施策により給付等を受けていない
フリーランスの方の場合、個人事業として開業届を出していれば、それを廃業することで「離職」と見なされます。
「職を失った方」が対象となる制度なので、単純に収入が減っただけでは申請することができません。
また、2020年4月1日支給決定分以降から「申請日において 65 歳未満」という年齢要件が撤廃されています。各自治体のサイトでは、まだ上記記載が残っているところも多いのでご注意ください。
支援を受けるための条件
住居確保給付金は誰でも受給できるわけではありません。簡単にいうと、
- <収入要件>世帯収入が少ない
- <資産要件>貯金が少ない
- <就職活動要件>仕事を探している
という方が対象です。それぞれ詳しく説明していきます。
収入要件
収入要件は「申請した月の世帯収入合計額が、「基準額+家賃額」以下であること」とされています。
家賃額にはマンションやアパートの共益費・管理費等は含まれません。
基準額は自治体によって異なります。家賃相場が高いところは高く、安いところは安いようです。
文京区の収入要件は、世帯によって以下のように定められています。
単身世帯 | 8.4万円+家賃額 |
2人世帯 | 13万円+家賃額 |
3人世帯 | 17.2万円+家賃額 |
資産要件
資産要件は「申請時の世帯の預貯金合計額が、基準額×6(ただし100万円を超えない額)以下であること」とされています。
文京区の資産要件は、世帯によって以下のように定められています。
単身世帯 | 50.4万円以下 |
2人世帯 | 78万円以下 |
3人世帯 | 100万円以下 |
就職活動要件
就職活動要件は「ハローワークでの月2回以上の職業相談、自治体での月4回以上の面接支援等を受けること」とされています。
なお、災害等により就職面接会等の中止、学校の休校による子の監護が必要となった場合を考慮し、自治体等が必要と認めたときには、就職活動要件も緩和されます。
具体的には、
- 自治体への相談方法を面談から電話等に変更
- 給与明細の郵送をもって収入の確認とする
- ハローワークへの相談や応募・面接の回数の減免
等が挙げられています。
支援を受けるにあたって、皆さん様々な事情を抱えていると思います。申請時にその旨を伝えてみれば、上記のような要件の緩和が提示される可能性があります。
支給額
住居確保給付金の支給額は、賃貸住宅の家賃額相当です。ここでいう家賃相当額には、マンションやアパートの共益費・管理費等は含まれません。
支給額には上限額が定められており、その額は自治体によって異なります。
文京区では、世帯によって以下のように定められています。
単身世帯 | 53,700円 |
2人世帯 | 64,000円 |
3人世帯 | 69,800円 |
支給期間
住居確保給付金の支給期間は原則3ヶ月間です。
ただし、就職活動を誠実に行っている場合は、さらに3ヶ月の延長が可能です。最長9カ月まで延長できます。
現在住んでいる物件がある場合には、原則として、申請日の属する月に支払う家賃相当分から支給が開始されます。
申請方法
住居確保給付金を申請するには、まず各自治体に設置してある窓口に申請書を提出しましょう。
既に住むところを失っている方の場合、これから住もうとするエリアの自治体が申請先です。
申請する際、添付書類として運転免許証などの本人確認の書類や、失業中であることを証明する書類、それに世帯収入や預貯金が確認できる資料などが必要です。
自治体によって必要資料や手順が異なるケースがありますので、まずは各自治体に問い合わせてみることをおすすめします。
文京区の窓口はコチラ↓です。
まずは支援の存在を知ること
「住居確保給付金制度」は2009年10月から実施開始されました。(2012年度まで住宅手当緊急特別措置事業、2014年度まで住宅手当緊急特別措置事業としての扱い)
支給決定件数は2010年をピークに減少しているのですが、「ハローワークに求職した離職者数」の水準は依然として高いままです。住居確保給付金のニーズはあるはずなのに、必要な人に届いていない(=知られていない)のが現状なのでしょう。
住居確保給付金は家賃を補助する制度ですが、その他にも、
- 賃貸住宅の契約を行う際に必要な初期費用(敷金・礼金)のための「総合支援資金貸付(住宅入居費)」
- 住居確保給付金を受給するまでの生活費にあてる「臨時特例つなぎ資金貸付」
等の制度もあります。
住居は生活の基盤です。失ってしまう前に、どのような制度があるかを知ることが重要になります。
また、困った時こそ一人で抱え込まず、自治体の窓口で相談しましょう。今まで知らなかった制度による支援を教えてもらえるかもしれません。
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この記事を書いた人
玉井 桃子
ベステックス専属ライター。文京区在住在勤。取材では車や電車を使わず、自転車と徒歩で細い路地からスーパーの鮮魚売り場までくまなく巡り、お店や道、地形に特に詳しい。お絵かきツールIllustratorの使用歴12年で、本文中の図解も手掛ける。